ジョン・トレンゴーヴ監督、マーク・ベアの1993年発表の小説を脚色した『The Smell of Apples』は、1970年代半ばにケープタウンで暮らす裕福なアフリカーナー一家の日常を、若きマルヌス・エラスムス(ダウィアン・ファン・デル・ウェストハイゼン)の目を通して描く。プロダクション・デザイナーのビリー・ル・ルーが時代のあらゆるディテールを捉え、レナート・ヒレゲの撮影によって陽光あふれながらも不気味な美学が創り出されている。

トレンゴーヴは小説の構造的な伏線やフラッシュフォワードを排し、クーデターを画策するチリの将軍ミスター・スミス(アレハンドロ・ゴイック)とマルヌスの父ヨハン(ヒルトン・ペルサー)の秘密の会談を軸に、軍事的権威と男性支配の世代間への影響をミニマルな語り口で扱っている。