キルヒホッフの熱放射法則は、表面が特定の角度と波長で熱を吸収する能力が、同じ角度と波長で熱を放射する能力と等しいと定める。約160年間、この法則は熱エネルギーの制御を困難にしてきた。しかし国際研究チームは、この制約を突破し、熱の吸収と放射を分離する新たな手法を発見した。
この革新的なアプローチは「メタグリーティング」と呼ばれ、磁場を利用して光を操作する。装置は、磁気光学材料と磁場の影響で吸収される熱の挙動を制御すると同時に、Rewritable CDにも使われるGe2Sb2Te5合金のような相変化材料を記憶素子として利用している。これにより、熱放射の方向を制御でき、システムのオン・オフが可能になり、電源を切っても状態を保持できる。
研究者たちは、光の入射角、磁場の強さ、グリーティングの物理的寸法を調整することで、望ましい熱吸収挙動をプログラムできることを示した。この柔軟性は、赤外線発光素子、熱エネルギー装置、センサー、フォトニクス記憶技術など広範な応用分野への道を開く。現在は理論段階だが、次段階ではプロトタイプの開発を目指している。
大阪公立大学の物理学者、村井俊輔は「熱放射をより賢く制御できた」と述べ、小牧浩一は最終目標が、電子回路が電流を制御するように、熱放射を能動的に制御できるコンパクトなデバイスを開発することだと付け加えた。この発見は、現代の熱フォトニクスにおける次世代チップスケール応用の扉を開く。
