メリーランド大学(UMD)の物理学教授ミン・オーヤンと彼のチームは、原子間力顕微鏡(AFM)のプローブを高速で前後に振動させながら、赤外線パルス光と組み合わせて新しい可視化法を開発した。この方法は、赤外線トーショナル力顕微鏡(TFM-IR)と呼ばれ、材料の表面の垂直と水平の振動を約1ナノメートルの精度で測定できる。従来のAFMは表面の高さのみを検出するのに対し、TFM-IRは光によって生じる振動も検出できる。

この技術の重要性は、雲母と二層グラフェン(モアレーパターン)を用いた実験で示された。雲母上では4つの異なる振動モードが分離され、グラフェンサンプルでは六角形内の結合と二層間の結合の赤外線応答が個別に可視化された。これにより、水平と垂直の応答を個別に追跡することができ、理論的な振動シミュレーションと実験結果が一致した。従来のTFM技術の限界を超えた。

この方法は室温で動作するため、半導体企業がチップの欠陥をナノスケールで検出するのに有用であると考えられている。また、量子センサーと光子量子コンピュータなどの次世代ナノスケールデバイスの設計に役立つ可能性がある。