日本で「人間国宝」の称号を持つ鈴田滋人は、父・輝次によって受け継がれ「鍋島更紗」として知られる木版更紗の伝統を、自然観察に基づく独自の芸術表現へと昇華させた。鈴田は、葉、枝、水流、魚の鱗といった自然界に見られる反復するリズムを抽象化し、数千回の木版捺染(着物一着で1500〜3000回)によって布地に定着させる。この過程で機械的な完璧さを追わず、手仕事ならではの微細な「かすれ」や色調の自然な揺らぎをあえて残すことで、作品に息吹を与える「間」を生み出している。