東京大学工学系研究科の渋田直也らは、隣接原子の振動を直接観測できる原子スケールの二重スリット実験を実施した。本研究は2026年に権威ある科学誌に掲載された。

研究者は走査透過電子顕微鏡(STEM)を用い、136 pm間隔で配置された二本のシリコン原子列に焦点を合わせた電子ビームを照射した。これはヤングの古典的実験を約七桁に縮小したものである。得られた干渉パターンは、原子対が同方向に振動している程度を示し、結合力と熱伝導に関する新たな知見を提供した。

本手法は現在、特定の結晶構造と条件下でのみ適用可能であり、広範な材料への一般化にはさらなる検証が必要である。将来的には、この技術により半導体内部で熱が集中する領域を原子レベルで解析でき、熱分布設計に指針を与えることが期待される。